日喉連第2015001号     
2015年6月25日

厚生労働大臣
塩 崎 恭 久 様

特定非営利活動法人
日本喉摘者団体連合会
会長 松 山 雅 則 印

 

喉頭摘出による音声機能障害者に対する発声訓練支援に関する要望

 

時下、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素より特定非営利活動法人 日本喉摘者団体連合会の活動にご理解、ご高配を賜り、厚くお礼申しあげます。
日本喉摘者団体連合会(以下日喉連という)は喉頭、咽頭、甲状腺、食道などの悪性腫瘍のため、喉頭を摘出し声を失った人達へ各種代替音声の獲得訓練を支援する全国58のボランティア団体(会員約6500名)で構成されています。日喉連は喉頭摘出手術によりコミュニケーション障害を生じた人に対して、日喉連認定喉頭摘出者発声訓練士(以下発声訓練士という)が代替音声(食道発声、電気式人工喉頭発声、シャント発声、笛式人工喉頭発声等)の習得を指導しています。障害者が障害者を訓練するという優位性を生かし代替音声の習得に多大の成果を上げ、障害者の社会復帰に大きく貢献してきました。少子高齢化の社会情勢の中、高齢の喉摘者が自立するためにも代替音声習得の必要性は高まっています。
発声訓練士は無報酬のボランティア活動です。訓練士の養成、訓練の教材費、交通費、事務費等の負担に対し自治体からの僅かな補助金と会費収入で運営されてきました。しかし年々運営が厳しくなっており、多くの喉摘者団体は経済的に今後の運営が危惧される事態になっています。日喉連各団体に依存している代替音声習得への活動に対して財政的援助の拡大が急務です。
また喉摘者の中には離島者、教室へ通う長期間の交通費の負担に耐えられない人、介護者なしには通えない人などは発声訓練を諦める人もいます。
日喉連の活動は障害者権利条約の第26条「ハビリテーション(適応のための技能の習得)及びリハビリテーション」に謳われているように国際条約で保証された権利と思います。
つきましては日喉連として次記(1)(2)(3)項目について要望させていただきますので、今後の施策に反映していただき、必要な予算措置を講じていただきますよう切にお願い申しあげます。

 

≪要望事項≫

(1)現在、各自治体からの喉摘者団体への助成は委託事業として活動費のほんの一部の助成に限定され、各団体とも事業運営が厳しい状況になっています。そこで下記の科目ついて全国の喉摘者団体への国または地方公共団体からの助成をお願いいたします。
①発声訓練士の教室までの通勤交通費
②発声訓練士養成のための教育研修費(宿泊、交通費)
④発声訓練士の団体間の出張・交流の費用(日当、宿泊費、交通費) 
⑤喉摘患者へのPRパンフレット及び説明資料作成費
     
(2)喉摘者が経済的理由により代替音声獲得のための発声訓練に支障が無きよう訓練に要する費用の一部または全部を国または地方自治体にて支援下さいますようお願いいたします。以下の科目について音声機能障害者への国または地方公共団体からの助成をお願いいたします。
①喉摘者が発声訓練施設に通うための交通費及び宿泊費
②介助の必要な喉摘者が発声訓練施設に通うための介助費用
③喉摘者が発声訓練に必要な教材、資料などの費用

    

(3)現在、全国58の団体で喉摘者の発声指導にあたる日喉連認定喉頭摘出者発声訓練士668名が訓練技術の向上と共有化を図り、自覚と責任を持って指導しています。今後、教わる人へ信頼と安心感を与える指導を実施するためにも国指定の資格として認めて下さいますようお願いいたします。
                                          以上