会長挨拶

日喉連会長 松 山 雅 則


日喉連活動経過報告とこれから
    
昨年度は数々の災害に見舞われた日本でしたが、日喉連では各ブロックでの指導者養成研修会、全国喉摘者発声大会などの行事を大過なく終わらせることが出来ました。
昨年11月末には日喉連が社会貢献者表彰を受賞し、安部昭恵会長から表彰状と副賞の栄誉を受けることができました。日喉連の全国的
な活動が社会に評価された証(あかし)と喜んでいます。日頃、活動を支えてくださっている会員の皆様には改めて感謝いたします。


日喉連が設立されて47年が経ちました。先人たちは不自由でも自分
の力で自分の肉声で会話できれば障害者の引っ込み思案を克服し、社
会復帰が可能と考え、器具に頼らない食道発声を訓練の柱としてきま
した。おかげで幾万人もの喉摘者が恩恵を受けました。同じ病気の同じ苦しみを経験してきた訓練士による指導だからこそ共感し、信頼され、成果を上げることができたと思っています。
最近は喉頭がんの早期発見や放射線、抗がん剤治療への移行で手術が減り、入会者も減少しています。発声方式も高齢化に伴うEL発声、職場復帰を急ぐシャント発声など多様化しています。スマホなどのSNSの利用で、敢えて声を出さなくてもコミュニケーションが取れるようにもなりました。日喉連ではこうした変化に合わせて「楽に楽しく」をモットーに、より実用的な発声をめざしております。


会員さんの高齢化に備えて食道発声やシャント発声とEL発声、笛式発声などの2方式併用発声の習得も勧めております。

財政が厳しくなる中、物品販売や賛助会のように全国展開が効果的と思われる活動は日喉連に集約し、銀鈴会と日喉連の活動の棲み(す)分けも進めています。


咋年から進めてきました日喉連のPRビデオが完成いたしました。
手術前、手術後の患者さんを勇気づけ励ますと共に世間の皆様の理解と協力をお願いして日喉連各団体の体質強化を意図したものです。このDVDは喉頭摘出手術前後の身体的変化や先輩喉摘者の発声訓練状況および術後の生活状況を映像化したもので、手術前の患者さんには決断と覚悟、手術後の患者さんには立ち直りのきっかけになればと願っています。現在、全国の喉摘手術実施病院や関連の看護学校などに配布をお願いしているところです。


日本はすでに世界のどの国も経験したことのない超高齢化社会を迎えており、団塊の世代が75歳以上になる2025年には65歳以上が3700万人で人口の30%、75歳以上の高齢者が2200万人になります。若い人たちには生産的仕事で日本を支えてもらわねばなりません。元気な高齢者が、介護を必要とする高齢者や障害者を世話する時代になるのです。介護施設や病院は介護士や看護師でなくてもできる仕事はできるだけ元気な高齢者に任せ、若い介護士や看護師はより専門的な仕事に注力して超高齢化社会に対応しようとしています。高齢者で喉摘者である我々も社会や家族に甘えることなく、できることは何なのか、再度見直し、前向きな人生を送りたいものです。


今年度も日喉連の各団体の皆さんのご支援、ご協力を引き続き宜しくお願いいたします。

 

日喉連誌より転記