マウスピース型人工喉頭ボイス・レトリーバーの開発

東京医科歯科大学リハビリテーション学分野 

戸原 玄 教授

  

 

東京医科歯科大学の戸原と申します。

高齢の方を中心とする摂食嚥下障害(せっしょくえんげしょうがい)の治療やリハビリテーションに取り組み、往診による在宅診療や地域連携を積極的に行っております。

さらに、今もっとも力を入れているのが “人工喉頭”の研究開発です。


がんで声を失った方たちが声を取り戻すための人工喉頭の開発に力を注いでおり、8月31日に「新人工喉頭の開発」と題して、Web会議システム「Zoom」で銀鈴会訓練士6名様に我々の開発した新型の人工喉頭をご紹介させていただきました。

また、10月14日に銀鈴会の教室にて訓練終了後に会員の皆様に集まっていただき、製品の紹介と実演、質疑応答などを行わせていただきました。


銀鈴会会員の多くの方は、電気式人工喉頭(EL)も使用していると伺いましたが、ELは首に自分で押し当てる必要があり、自分たちがみることが多い要介護の方は実質的に使用が困難です。開発中の人工喉頭はマウスピースを口に入れてスイッチを押すだけで話すことができます。声帯の機能を代替するマウスピース型の人工喉頭“Voice Retriever(ボイス・レトリーバー)”により、音を口の中で共鳴させて、口を動かすことで話せるという仕組みです。

この人工喉頭を使うと、喉頭全摘や気管切開などで声を失った方が声を取り戻すことができます。首から下がほとんど動かない方でも使用が可能です。また、昔の自分の声や家族の声を使って、本人の声に近い声で話すことができます。

課題としては、口角から1本線が出てしまうこと(マスクをすれば見えませんが)、口の中にものを入れるので違和感があること、抑揚がなく棒読みのような声になってしまうことです。抑揚がない点を克服するために、オタマトーン(©︎MAYWA   DENKI,販売元:(株)キューブ)というトイ楽器と連携させて抑揚のある声を出せるモデルも開発しました。指でオタマトーンの真っ直ぐな部分に触れると、その場所によって音が上下します。現在、このモデルを患者さんに使ってもらい、実用化に向けた検討を進めています。

開発を進めるために9月27日〜11月25日にクラウドファンディングをすることにしました。このQRコードからご覧いただけるのですが、何よりいくつか乗せた動画をご覧いただければありがたいです。是非会員の皆様にもお使いいただき、歌が歌えるくらいに改良ができたらそれに勝ることはありません。

連絡先は東京医科歯科大学大学院生の山田大志yamadent68@gmail.comです。

なにとぞよろしくお願いいたします。

 

 



10月14日に銀鈴会で行われたデモンストレーションの様子は、 こちらから